経理担当者の退職は、単なる人員補充の問題ではありません。

社長が退職前に確認しておきたい7項目を、会社を止めないための視点で整理します。
経理担当者の退職で、本当に困ること
「経理担当者が退職するので、後任を採用したい」というご相談は少なくありません。しかし、急いで求人を出すだけでは、根本的な解決にならない場合があります。
長年同じ方が経理を担当している会社では、日々の処理だけでなく、支払の優先順位、請求漏れの確認方法、資金繰り表の見方、取引先とのやり取り、会計事務所への資料提出まで、その方の経験と判断に支えられていることがあります。
退職をきっかけに、業務の属人化を見直し、社長が会社のお金と数字を把握できる体制へ整え直すことが大切です。
1.経理担当者が担っている仕事を洗い出す
最初に行うべきことは、「その方が何をしているのか」をできるだけ具体的に書き出すことです。経理業務は、帳簿入力だけではありません。
- 請求書の発行・発送
- 売掛金の入金確認・未回収先への連絡
- 仕入先や外注先への支払
- 給与計算・社会保険料・源泉所得税の支払
- 現金・預金の管理
- 会計ソフトへの入力・月次資料の作成
- 金融機関、取引先、税理士との連絡
「誰が、いつ、何を見て、どのように判断しているか」まで確認すると、引き継ぐべき仕事が見えてきます。
2.会計データ・銀行口座・各種システムの権限を確認する
退職後に業務が止まりやすいのが、ID・パスワード・電子証明書・銀行の承認権限などです。会計ソフト、インターネットバンキング、給与計算ソフト、請求書発行システム、電子納税の利用者識別番号などを確認しましょう。
特に、担当者個人のメールアドレスや携帯電話に認証コードが届く状態は注意が必要です。引き継ぎ後も会社として管理できるメールアドレスと権限設定に変更しておくことが大切です。
3.支払・給与・請求・入金確認の流れを確認する
会社が止まる原因は、会計入力が遅れることよりも、支払や給与、請求・回収が滞ることにあります。
毎月・毎週・毎日の業務に分けて、「いつまでに、誰が確認し、誰が承認するか」を整理してください。支払予定表、給与支給日、請求書発行日、入金予定日を社長や後任者が確認できる状態にしておく必要があります。
資金繰りに余裕がない会社ほど、支払の優先順位を担当者一人の経験だけに任せないことが重要です。
4.月次決算と経営数字がいつ、どのように作られているか確認する
経理担当者が退職したあと、「試算表がいつまでたっても出てこない」「売上や利益の状況が分からない」という事態が起こることがあります。
社長が確認すべきなのは、帳簿を作ること自体ではなく、経営判断に必要な数字が、いつ見えるのかという点です。月次試算表、資金繰り表、売掛金一覧、借入金返済予定などが、毎月いつ完成し、誰が確認しているかを明確にしましょう。
退職を機に、数字を「税務申告のための記録」から、「経営判断に使う情報」へ変えていくことができます。
5.期限のある手続きと年間業務を整理する
経理には、毎月・年数回・年1回と、期限の決まった業務があります。給与支払、社会保険、源泉所得税、年末調整、法定調書、償却資産申告、決算・申告準備などです。
これらを担当者の記憶だけに頼っていると、退職後に期限を過ぎてしまうおそれがあります。年間カレンダーとして一覧にし、誰が担当し、必要資料は何かを残しておきましょう。
6.担当者の頭の中にある判断基準を引き継ぐ
長く勤めた経理担当者は、マニュアルに書かれていない判断を数多く持っています。たとえば、特定の取引先への請求方法、支払前に確認すべき事項、社長への報告が必要になる基準などです。
後任者に「前任者と同じようにやってください」と伝えるだけでは、再現できません。定例業務、例外的な処理、注意すべき取引先を分けて聞き取り、できる範囲で文書化しましょう。
7.後任採用だけでなく、これからの経理体制を決める
退職後の選択肢は、正社員を採用することだけではありません。業務の一部を外部に委託する、会計ソフトをクラウド化する、社内では請求・承認に集中し、記帳や給与計算は専門家と連携するなど、会社の規模と状況に応じた体制を考えることができます。
大切なのは、「誰か一人がいなくなると会社が止まる状態」を繰り返さないことです。採用、外部委託、業務改善を組み合わせ、社長が数字と資金の状況を確認できる仕組みを整えましょう。
まとめ:退職前は、会社の経理体制を見直す機会です
経理担当者の退職は、会社にとって大きな不安要因です。一方で、これまで見えにくかった業務の流れや属人化を整理し、経営数字を見えるようにする機会でもあります。
後任者を決める前に、業務・権限・資金繰り・月次数字・期限管理を確認してください。必要であれば、社内で担う業務と外部と連携する業務を整理し、会社を止めない経理体制を作ることが重要です。
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「何から引き継げばよいか分からない」「後任を採用すべきか、外部と連携すべきか迷っている」という段階でも大丈夫です。業務、数字、資金繰りを整理し、会社に合った経理体制を一緒に考えます。
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