事業継承とは?事業継承と相続の違いやルールを徹底解説!
日本の高齢化の現状もあり、日本全国の企業では事業を受け継ぐときの問題が増加しています。
会社の経営を受け継ぐためには事業承継もしくは相続のどちらかの方法を選ぶ必要がありますが、そもそも違いが分からなかったり、どのようにして受け継げばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、事業承継と相続のそもそもの違いや細かなルールの違いについて詳しく解説していきます。経営している会社の受け継ぎを考えている方はぜひ最後まで読んでみてください。
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事業承継とは?
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことを指します。
事業承継では、会社の経営権だけではなく保有している株式や資金、さらには経営で培ってきたノウハウや顧客情報などを引き継ぐため、より慎重な人選が求められるのです。
また、事業承継をするときに重要ポイントになってくるのが「事業承継税制」です。事業承継税制は、日本で創業された中小企業の事業継承をスムーズに行うために作られた法律(経営承継円滑化法)に基づいて、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について贈与税や相続税の納税を先延ばし(猶予)にすることのできる制度です。
ただし、事業承継税制では会社や個人事業の後継者がすべて納税を猶予できるというわけではなく、一定の条件を満たしている必要があります。
事業承継税制を満たすための主な条件は下記の通りです。
事業承継税制を満たすための主な条件
- 非上場の中小企業であること
- 風俗営業会社ではないこと
- 資産管理会社ではないこと
- 先代が会社の代表を勤めていること
- 後継者が筆頭株主であること
- 後継者が総議決権数の過半数を持つこと
このように、事業承継税制を利用するためにはさまざまな条件を満たす必要があるため、事業承継を考えている場合は事前に条件を確認しておくことが大切です。
事業承継税制の詳細については、国税庁の「事業承継税制特集」でも確認することができます。
事業承継と相続との違い
事業承継と会社を相続することは、どちらも後継者が会社を引き継ぐということに変わりはありません。しかし、厳密にいうと細かい違いがいくつかあるため、事業承継と相続の違いについて抑えておくことは重要です。
ここでは、事業承継と相続の違いについて詳しく解説していきます。
事業承継
先ほどもお伝えした通り、事業承継は会社の経営を後継者に引き継ぐことを指し、後継者は親族だけではなく従業員などにも引き継ぐことができます。
会社の経営を家族や親戚に引き継ぐことを「親族内承継」、社内従業員に引き継ぐことを「社内承継」、さらには第三者へ承継することも可能です。
このように、”事業承継では誰に引き継ぐか”ということについて法律で定められていないため、言ってしまえば誰にでも事業承継することができます。
また、事業承継は現経営者の存命と死亡に関係なく行うことができるため、タイミングについても自由に行うことができるのです。
相続
相続とは、経営者が死亡したときに残された会社を財産として相続人が受け継ぐことを指します。会社を相続する場合は、会社の経営権はもちろん、現金有価証券や不動産、借金などもすべて含まれてしまうのです。
また、相続の場合は民法で定められた法定相続人が受け継ぐことになることが基本であるため、配偶者や子ども、父母などが受け継ぐことが多くなります。
事業承継と相続で異なるルール
事業承継と相続ではいくつか異なるルールが存在するため、事前にルールの違いについて抑えておく必要があります。
ここでは、事業承継と相続で異なるルールについて詳しく解説していきます。
開始する時期
事業承継でも相続でも、準備もなしにいきなり会社の経営を任せることはできません。基本的には長期にわたって会社を受け継ぐための準備をすることが一般的です。
事業継承の場合は好きなタイミングで後継者が会社を受け継ぐことができるため、会社の代表を辞任したいタイミングに合わせて後継者への引き継ぎを行い、準備ができたタイミングで受け継ぎを開始することができます。
一方で相続は会社の代表が死亡したタイミングで後継者に受け継がれるため、事前に後継者に受け継ぐ準備をしておき、死亡したタイミングで後継者が会社の経営権を受け継ぐという形になります。
このように、事業承継と相続は会社を受け継ぐタイミングこそ異なりますが、数年かけて後継者に会社の受け継ぎの準備を行うという点では共通しているのです。
事業承継する人・相続する人
事業承継と相続は受け継ぐことのできる人が大きく異なります。
先ほどもお伝えした通り、事業承継の対象になる人は法的な縛りがないため、親族でも従業員でも、第三者でも、事業承継することができるのです。
一方で相続は民法で相続人が決められているため、民法に則って後継者が決められる、もしくは後継者について記された遺言書に基づいて相続人を決めることになります。
遺言書が残されていない場合は、経営者の配偶者>子ども>きょうだいという順番に相続権が大きくなりますが、遺言書が残されている場合は民法を無視して遺言書通りに相続することが可能です。
このように、事業承継は誰にでも受け継ぐことができますが、相続の場合は基本的に民法で定められた相続人が受け継ぐことになります。
事業承継する方法・相続する方法
事業承継と相続は方法がそれぞれ異なります。
事業承継は、まずは現状の社内の状況を把握した上で後継者を決定し、その後に事業承継計画を作成してから事業承継をする流れになります。
事業承継の方法は親族内承継・社内承継・M&Aの3つに大きく分けられますが、それぞれの違ったメリット・デメリットがあるため、より会社を後継者に任せられる方法を選ぶことが大切です。
相続は被相続人が死亡したのちに相続人に受け継ぐ流れになります。ただし、会社を後継者に受け継ぐ場合は基本的に誰に受け継ぐか先代が決定していることが多いため、トラブルを避けるためにも遺言書に後継者を記しておいた方がいいでしょう。
このように、事業承継と相続では行う方法が大きく異なります。
不安ならプロに相談しよう
ここまで事業承継と相続の違いについて解説していきましたが、会社の経営を後継者に受け継ぐことは簡単な作業ではありません。少しでも不安に感じる場合はプロに相談することがオススメです。
中でも、相続で会社を受け継ぐ場合、高額な相続税がかかってしまうことが多いため節税対策が必要となります。そのためには生前贈与や経営承継円滑化法の利用、さらには株式の評価額を下げるなど、さまざまな対策が必要になります。
三尾会計事務所では、経営面、税制面など様々な視点で貴社の状況に合わせた的確な方法をアドバイスいたします。初回のご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、事業承継と相続のそもそもの違いや細かなルールの違いについて詳しく解説していきました。
事業承継や相続は基本的に人生で一度しかありませんし、会社にとって大きなターミングポイントになりますので失敗は許されません。そこで大切になるのが、会社の受け継ぎについて豊富な知識を持っているプロに相談することです。
ぜひこの記事を参考にして事業承継と相続の違いについて理解してみてください。