事業継承における3つの課題とは?事業継承の問題と課題について解説

高齢化社会の日本では、経営者の高齢化も進んでおり、多くの企業が事業継承の課題を抱えています。中でも、中小企業の事業承継はうまく進んでいないことが多いようです。

とはいえ、なぜ事業承継がうまくいかないのか、どのような課題があるのかについて知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、事業承継の問題と課題について詳しく解説していきます。事業承継をせずに廃業してしまうと大きなリスクがありますので、事業承継を成功させるためにもぜひ最後まで読んでみてください。

事業承継の3つの問題

事業承継の際に挙げられる問題は下記の3つです。

事業承継の3つの問題

  • 後継者がおらず廃業する
  • 経営者の高齢化
  • 事業承継が進まない

それぞれの問題についてくわしく解説していきます。

後継者がおらず廃業する

会社を事業承継するときに最も重大な問題が、事業承継の後継者が見つからず廃業するといった問題です。

廃業となった場合、残った資産については保有株の数に応じて株主に分配されるため資金が残る可能性もありますが、それ以上に廃業コストがかかってしまう可能性が高いです。そのため、会社を事業承継せずに廃業の選択肢を取ることは多くのリスクを伴います。

実際に、中小企業庁が実施した「中小企業における事業承継の調査」によると、約7割の経営者が廃業後の生活保護の確保や廃業する際のコストに関して不安を抱えていることがわかりました。

一方で、会社を事業承継することで廃業コストを0にしたり、M&Aでまとまった資金を手に入れたりすることもできます。さらには事業継承時に保有していた自社株を売却することでも資金を得ることができるので、後継者問題は早期に解決すべき問題といえるでしょう。

経営者の高齢化

事業承継の後継者が見つからないという問題と同時に経営者の高齢化についても問題視されています。

事業承継の後継者が見つからないうちは経営者がそのまま会社の代表でいれば廃業の心配はありません。しかし、経営者の高齢化が進んでしまうと病気や体調不良などが原因で経営者として仕事をすることができなくなってしまうことも多いのです。

経済産業省が発表している「中小企業の経営者の高齢化と事業承継」によると、中小企業の経営者の年齢は1995年の経営者年齢のピークが47歳であったのに対して2015年の経営者年齢のピークは66歳となっており、経営者の高齢化が著しくなっています。

また、経営者の年齢が60歳以上の中小企業においては、48.7%が後継者不在というデータもあります。

このように、経営者の高齢化によって事業承継を考えているものの、後継者が不在というケースは非常に多く問題視されています。

事業承継が進まない

事業承継をする後継者がいるにも関わらず、事業承継が進まないということも問題のひとつになります。事業承継が進まない理由として挙げられるのは、後継者の育成不足や後継者を決める決定的な理由が見つからないなどです。

事業承継をするためには、会社で行っているすべての業務を理解する必要があります。各部署に配属されて実務経験を積むことに加えて、経営サイドの業務内容や経営者になるためのスキルを同時に身に付けていかなければなりません。そのため、後継者に対しては、しっかりとした育成が必要です。

しかし、事業承継の後継者の育成は非常に難しいため、社内だけで育成を完結させようとすると後継者の育成がうまくいかずに事業承継が進まないというケースも多いのです。

また、後継者の育成が順調に進んでいたとしても、事業承継するときには経営者の自社株を後継者に買い取ってもらう必要が基本的にはあるため、後継者の資金力も必要になります。後継者の資金力が不足していることで事業承継の手続きがスムーズにいかないというケースもあります。

事業承継での課題

事業承継での課題は下記の3つです。

事業承継の3つの課題

  • 後継者についての課題
  • 個人保証の課題
  • 税負担の課題

それぞれの課題についてくわしく解説していきます。

後継者についての課題

先ほどもお伝えした通り後継者不足によって会社が廃業してしまうことが増えているため、後継者を見つけることは事業承継における大きな課題です。

事業承継の後継者は、家族に承継する方法、従業員に承継する方法、第三者に承継する方法の3つの方法があります。どれかひとつに絞って事業承継の後継者を探すのではなく、幅広い視点から後継者を見つけることが大切です。

特に経営者の中には、家族の誰かを後継者に迎えたいという思いを強く持っている人も多いです。しかし、親族が後継者になることができない場合、そのまま廃業してしまう可能性があります。そのため、最善の後継者を見つけるためには、その時点で行動を起こすことが重要です。

個人保証の課題

会社経営における「個人保証」とは、会社が金融機関から借り入れをする際に経営者が個人的に連帯保証を負うことを指します。しかし、後継者がこの個人保証を引き継ぐことは困難であり、これが事業承継の課題となっています。

その理由は、金融機関は元の経営者に対して貸し付けを行っているため、後継者に保証人を一方的に変更することは難しいからです。さらに、後継者が保証人となることが事業承継の条件として求められている場合、そもそも事業承継を引き受けてくれる可能性自体が低くなってしまいます。

だからといって、事業承継後に先代の経営者が保証人を続けることにもリスクがあります。というのも、もし、後継者が事業に失敗してしまった場合、先代の所有財産を手放されなければならないからです。

このように、事業承継における個人保証については慎重に対処する必要があります。

税負担の課題

事業承継を行う場合、後継者が高額の税金を負担することから、後継者が引き継ぐことをためらうケースもあり、税負担は重要な課題となります。

特に、後継者が自社株を受け継ぐ場合には、贈与税や相続税などの負担が大きくなることが問題とされています。しかし、贈与税と相続税の納税を猶予することができる「事業承継税制」という制度を活用することで、税負担を軽減することが可能です。

事業承継に関する課題を抱えているならプロに相談を

事業承継に関する課題を抱えている経営者は非常に増えていますが、多くの課題は自社内だけでは解決できないことがほとんです。そのため、少しでも課題を抱えているのであればプロに相談することがオススメです。

プロに相談することで、幅広い視点から事業承継についてアドバイスをもらうことができるため、後継者不足の問題や税金関係の問題などを解決に導くことができるでしょう。

本記事を執筆している三尾会計事務所では、経営面、税制面など様々な視点で貴社の状況に合わせた的確な方法をアドバイスしています。初回のご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、事業承継の問題と課題について詳しく解説していきました。

事業承継にはさまざまな問題や課題がありますが、その中でも後継者を見つけることと資金・税金に関する問題は事業承継をするにあたって避けることのできない問題になります。

これらの問題は多くの中小企業が抱える問題ですので、社内だけで問題解決に取り組むのではなく専門家からアドバイスをもらうことで解決しやすくなります。

ぜひこの記事を参考にして事業承継の問題と課題を理解してみてください。

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