事業継承で税金がかかる?事業継承における税金の種類と節税方法を解説!

事業継承する際、税金がかかるのをご存じですか? 税金は誰にどんな形で事業継承しても、課税されます。そのため、「できるだけお金はかけたくない」「節税できたらいいな」と思う経営者は多いはずです。

事業継承するには税金はかかりますが、実は、条件さえ合えば節税できる制度があるのをご存じでしょうか。そこで、この記事では、事業継承する際にかかる税金の種類と節税方法を解説します。

今後、事業継承を考えている経営者は必見の記事です。

事業承継とは?

事業継承とは、経営者が家族や従業員、そのほかの経営者に会社を引き継ぐことをいいます。事業を引き継ぐだけではなく、会社の財産や株式など、事業に関するものすべてを継承します。

事業継承するには税金がかかりますが、誰にどのような形で継承するかによって税金の種類や金額は異なります。事業継承のために後継者を選ぶ際は、税金を考慮して進めるのもひとつの手です。

事業承継する際かかる税金の種類

事業継承する際、かかる税金の種類はさまざまです。誰にどのような形で継承するかによって、異なります。親族に継承する場合、従業員に継承する場合、M&Aで承継する場合それぞれ異なります。

ここからは、事業継承する際にかかる税金の種類を、誰に継承するかでどう変わるのか解説します。ぜひ参考にしてください。

親族に事業継承する際かかる税金

兄弟や子どもなど、親族に事業継承するには3つの方法があります。

事業承継のパターン

  • 株式譲渡で継承する
  • 株式贈与で継承する
  • 相続で継承する

株式譲渡で継承する場合、株式を有償で継承するため税金は発生しません。しかし、経営者は対価として譲渡所得を得たことになるため、20.315%の申告分離課税が発生します。

株式贈与で継承する場合は、株式を無償で継承するため税金は発生しません。しかし、後継者に対して贈与税が発生します。なお、贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類があり、無税で贈れる金額(非課税枠)や贈与者、受贈者の条件など、様々な点が異なります。また、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた人(贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者に限る。)の税率は、特例税率という低い税率が適用されます。

相続で継承する場合、相続税が発生する可能性があります。この場合、株式だけではなくほかの財産も引き継ぐため、どれくらい税金が発生するのか簡単にはわかりません。詳細な税額を知りたい方は専門家に相談し、詳しく計算してもらうとよいでしょう。

従業員に事業継承する際かかる税金

従業員に継承する場合は、以下の2種類の方法があります。

事業承継のパターン

  • 株式譲渡で継承する
  • 株式贈与で継承する

株式譲渡で継承する場合、株式を有償で継承するため税金は発生しません。しかし、経営者は対価として譲渡所得を得たことになるため、20.315%の申告分離課税が発生します。 

株式贈与で継承する場合は、株式を無償で継承するため税金は発生しません。しかし、後継者に対して贈与税が発生します。なお、従業員への贈与は、直系尊属からの贈与ではないため、特例税率ではなく一般税率が適用されます。特例税率に比べ、一般税率の方が高く設定されているため、継承する前に、後継者が贈与税を支払うことができるのか考慮する必要があるでしょう。

M&Aで事業継承する際かかる税金

M&Aとは、合併(Mergers)と買収(Acquisitions)の略です。M&Aで継承する場合、以下の2つの方法があります。

事業承継のパターン

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡

株式譲渡によって継承する場合、株主は譲渡により収入を得ます。株式取得や譲渡でかかった費用を差し引いて譲渡所得の20.315%を申告分離税として納税します。

事業譲渡の場合は、売却によって得た利益に対して法人税が課せられます。法人税率は資本金の額により、異なります。なお、土地など消費税がかからない資産を売却した場合、消費税が発生します。

事業承継における節税対策の方法

事業継承で税金がかかるのは仕方がないとはいえ、なるべくお金はかけたくないものです。節税ができたら、嬉しいですよね。節税対策として、会社の評価を下げたり特例事業継承税制を利用する方法があります。

また、相続時精算課税制度を利用する方法もあります。ここでは、それぞれの節税方法について、解説します。それでは、くわしく見ていきましょう。

株価を下げて会社の評価額を下げる

企業の株価が高いと、譲渡価格も高くなります。譲渡の場合は経営者が支払う所得税が贈与の場合、贈与税が高額になり相続の際の相続税が高くなります。株価を下げることができれば会社の評価額も下がり、税金の額を抑えられます。

また、特別配当を実施し純資産を減らすという方法や、法人保険に加入して企業の利益を減らし、時価総額を下げる方法もあります。

特例事業承継税制を利用する

特例事業継承税制が適用されれば、相続税や贈与税が猶予されることがあります。適用の際は税猶予ですが、一定期間要件を満たすことで、猶予された税額は免除される制度です。

制度を利用できるのは、継承を行う会社が中小企業で、乗除企業・資産管理会社・風俗営業会社ではないことが条件です。また、1人以上従業員がいることが条件になったり、税猶予の対象になる税額・利子税額に合う担保を提供する必要があったり、様々な条件があります。

相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度を利用するという方法もあります。相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。2,500万円を超えても、超えた分に対してのみ20%の贈与税が発生します。

贈与者が死亡した際は贈与財産に対して相続税が生じますが、贈与の際に払った贈与税額は相続税対象額から控除されます。

悩んだらプロに相談しよう

ひとつずつ落ち着いて計算すれば、難しくはない税金制度。しかし、いつどんなタイミングで制度を利用するのか、誰に継承するのかによって複雑のように思えます。

そこで、事業継承の税金について悩むことがあれば、プロに相談するのもひとつの手です。

本記事を執筆している三尾会計事務所では、経営面、税制面など様々な視点で貴社の状況に合わせた的確な方法をアドバイスしています。初回のご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、事業継承する際に発生する税金と節税について解説しました。

どんな方法をとっても、税金はかかります。しかし、誰にどんな形で継承するかによって金額は異なりますし、節税ができる制度もあります。制度を利用するには条件がありますが、あてはまる場合は有効に使いたいですね。

事業継承を考えている経営者の方は、この記事をぜひ参考にしてください。

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