後継者がいない会社はどうする?後継者問題に直面した会社が選ぶ4つの道とは
日本には数多くの企業が存在しますが、日本の高齢化に伴って経営者の年齢についても高齢化が進んでいます。
その中で問題になっているのが会社の後継者問題です。
株式会社帝国データバンクの調査では後継者がいない企業が全体の65%となっており、各企業は後継者を見つけることが非常に重要なこととなっています。
とはいえ、後継者がいない会社はどのように対策すればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、後継者がいない会社が選ぶ道について詳しく解説していきます。
会社を受け継ぐためには後継者を数年かけて育成する必要がありますので、本記事を参考にして早いタイミングから後継者について考えてみてください。
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後継者がいない会社が選ぶ4つの道
後継者がいない会社は下記の4つの道を選ぶことができます。
後継者がいない会社の選択肢
- 廃業
- M&A
- 事業継承
- 株式公開
それぞれの道について詳しく解説していきます。
①廃業
会社に後継者がいない場合、会社の経営を辞める「廃業」の選択肢を取ることもできます。しかし、後継者がいない場合の選択肢として避けるべきなのは、廃業です。理由はいくつかあります。
まず、廃業をすることで会社が保有する土地や建物、設備などを現金にして会社が抱える負債と精算することは可能です。しかし、残った資産には法人税がかかってしまいますし、そもそも会社の資産に高額な現金換算される可能性は低いです。
また、廃業をするときにオフィスや店舗などの原状回復費用や解散登記、官報広告など費用がかかってしまいます。さらに、今まで会社で働いてくれていた従業員の雇用にも責任が持てなくなり、取引先にも迷惑をかけるようになります。
そのため、会社を廃業することで金銭的な負担を経営者が負ってしまうだけではなく、従業員や取引先顧客にも迷惑がかかってしまうため、廃業という選択肢は避けるべきといえるでしょう。
②M&A
会社に後継者がいない場合、M&Aによって会社の経営権を第三者に買収してもらうこともできます。
M&Aとは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称で、会社を合併買収すること、もしくは会社を買収することを指します。
M&Aと聞くと大企業が中小企業を買収するというイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、中小企業がM&Aにて企業を買収するケースも多く、会社の規模によっては個人が企業を買収することもあります。
このようにM&Aで企業を買収してもらうことで後継者問題を解決し、事業もこれまで通り続けることができます。また、会社を引き継ぐときに経営者が持っていた株式を譲渡することで譲渡益(売却益)を得ることができるため、勇退した経営者の今後の生活資金も得ることが可能です。
ただし、M&A先をしっかりと選定し、密に話し合いを進めないと大きなリスクを抱えることもあります。例えば、従来とは大きく違った取引先との関係性になってしまったり、従業員の労働環境が大きく変わってしまったりするような問題があります。また、想定していた金額で売却できないことも考えられるため注意が必要です。
③事業継承
事業承継とは、誰かに会社を受け継ぐことを指します。
事業承継をする後継者によってメリット・デメリットが異なり、主に下記の3つの選択肢があります。
事業承継の選択肢
- 親族に継承する
- 従業員に継承する
- 社外から招へいする
それでは、それぞれの事業承継について詳しく解説していきます。
親族に継承する
会社の経営権を親族に受け継ぐことを「親族内事業継承」といいます。一般的に現経営者の子どもや甥・姪などの下の世代を後継者として会社を受け継ぐ方法です。
親族に事業継承することで、引き継ぐための十分な準備期間を確保することができますし、税金関係でも有利に事業継承することができます。
ただし、必ずしも親族の誰かが事業承継を受け入れてくれるというわけではありません。そのため、まず事業承継を受け入れてくれる親族を探すところから始めることが必要です。
従業員に継承する
社内の従業員に事業承継することを「社内事業承継」といいます。従業員の中から適正のある人材に会社を受け継ぐ方法です。
社内の従業員が多いほど候補者の選択肢が増え、社風や経営理念を理解している人を後継者にすることができるため、事業承継をスムーズに行いやすいです。
しかし、社内事業承継のために株式を後継者に承継する場合、一般的に譲渡ではなく売買になるため候補者の資金力が求められます。
社外から招へいする
事業承継は一般的に親族もしくは従業員に受け継いでもらうことが一般的です。しかし、近年では社外の経営者を招へいして事業承継するケースも増えてきました。
社外の経営者を招へいすることで、経歴や実績があり、さらに会社の考え方を理解してくれる経営者を選ぶことができます。
承継後の実績についても安心して任せることができる一方で、親族や社内従業員の理解を得られないこともあります。
また、いくら素晴らしい経歴や実績があったとしても経営する会社が変わることで環境の変化に対応できず成果を出せない場合があることも覚えておきましょう。
株式公開
上場企業になり株式を公開するという方法もあります。メリットとしては株式市場に自社株を流通させるため、高い換金性を持たせることができ、経営者が保有している株式を売却することで多くの創業者利益を得ることができます。
しかし、上場企業になるためは厳しい基準をクリアし何度も行われる審査に合格する必要があります。中小企業にとってはかなりハードルの高い方法になります。
後継者問題で悩んでいるならプロに頼るのも◎
中小企業にとって後継者問題は深刻ですので、できるだけ早い段階で後継者を見つける必要があります。
とはいえ、後継者問題を解決するためにはM&Aや事業承継、株式公開など、専門的な知識が必要になる場合がほとんどです。高い専門性を有していないため、廃業の道に進んでしまう企業も多くあります。
先ほどもお伝えした通り、廃業の道に進んでしまうと経営者に残る金銭が少なくなり、最悪の場合には廃業後に負債を抱えてしまう可能性もあります。また、これまで大事にしてきた従業員や顧客にも迷惑がかかってしまう可能性もあるため、経営者として避けるべき選択でしょう。
このように、後継者問題を解決するためにはさまざまな知識が必要になるため、より良い選択肢を取れるようにプロに相談することを検討することがオススメです。
本記事を執筆している三尾会計事務所では、事業承継の専門家が、経営、税制など様々な視点から的確に後継者問題についてアドバイスしています。初回のご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、後継者がいない会社が選ぶ道について詳しく解説していきました。
後継者が見つからない場合に進む道はいくつかありますが、廃業以外の選択肢はすぐに実行できないことも多いため、長期的な目線で後継者を探すことが大切になります。
ぜひこの記事を参考にして後継者問題を最適な方法で解決できるように行動してみてください。