生前贈与を「年間いくら贈るか」から「家族全体の資産承継」へ転換した事例

この事例から学べること
生前贈与で大切なのは、非課税枠を使い切ることではありません。「誰に・いつ・何を・どのように引き継ぐか」を、将来の相続まで含めて設計することです。
ご相談内容
ご家族への生前贈与を検討されている個人のお客様から、贈与税や将来の相続を考えた場合に、どのような方法で資産を移していけばよいのかというご相談をいただきました。
具体的には、
- 年間どの程度まで贈与できるのか
- お孫様への贈与はどのように進めればよいのか
- 教育資金に関する非課税制度を利用できるのか
- 銀行振込と現金手渡しではどちらがよいのか
- 家族全体で考えた場合、より合理的な贈与方法はないか
といった点について整理したいというご相談でした。
ご相談時の状況
相談者は、お子様やお孫様など複数のご家族への贈与を考えていました。
一方で、特定の方に贈与を集中させると、贈与額によっては贈与税負担が大きくなる可能性があります。
また、毎年の贈与、教育資金に関する特例、ご家族ごとの贈与方法についても、どのように組み合わせればよいのか十分に整理できていませんでした。
相談者は、
「できるだけ税金を抑えながら、子や孫へ資産を移していきたい」
と考えていましたが、単年度の贈与税だけを見るべきなのか、将来の相続まで含めて判断すべきなのか迷われていました。
本当の課題
当初のご質問は、
「どの制度を使えば贈与税を少なくできるか」
というものでした。
しかし、本当に重要なのは、制度を一つ選ぶことではありませんでした。
本当の課題は、
家族全体を一つの単位として、将来の相続まで含めた資産承継を計画すること
でした。
贈与では、誰が財産を受け取るのか、いつ贈与するのか、どの程度の金額を移すのかによって、税負担や将来の相続への影響が変わります。
また、贈与税だけを見れば有利に見える方法であっても、将来の相続税や遺産分割、ご本人の生活資金まで含めて考えると、必ずしも最善とは限りません。
意思決定のために整理したこと
そこで、
「今年いくら贈与するか」
という考え方から、
「将来の相続まで含め、家族へどのように資産を引き継いでいくか」
という視点へ転換することをご提案しました。
① 贈与を単年度ではなく複数年で考える
一度に多額の財産を移すのではなく、ご家族の状況や保有財産、今後の生活資金を確認しながら、複数年にわたって計画的に贈与する考え方を整理しました。
生前贈与は、短期間で結果を出そうとするより、時間を味方につけて計画することが重要です。
② 贈与先を「家族全体」で考える
お子様だけでなく、お孫様への贈与も含め、誰にどの財産を引き継ぐのがご家族全体として望ましいのかを整理しました。
ただし、贈与を受ける方によって将来の相続税上の取扱いが異なる場合もあるため、単純に贈与先を増やせばよいというものではありません。
贈与税だけでなく、将来の相続との関係を確認した上で判断することが大切です。
③ 教育資金などの特例も選択肢として検討する
お孫様などへの資産承継については、教育資金に関する非課税制度など、利用できる特例がないか検討しました。
こうした制度には適用期限や要件があるため、実際に利用する際には、その時点の制度内容を確認する必要があります。
制度ありきではなく、ご家族の教育費の予定や資金需要に合っているかを確認したうえで利用することが重要です。
④ 「贈与した事実」が分かる形にする
贈与は、単にお金を移動させればよいわけではありません。
贈与者が財産を渡す意思を持ち、受贈者もそれを受け取る意思を持っていることが重要です。
そのため、銀行振込など履歴が確認できる方法を利用し、必要に応じて贈与契約書を作成するなど、贈与の内容を明確にしておくことをご提案しました。
また、受贈者が実際に財産を管理できる状態にしておくことも重要です。
⑤ ご本人の生活資金を確保する
生前贈与を進める際には、税負担だけでなく、贈与者ご自身の将来の生活資金も確認する必要があります。
贈与を進めすぎた結果、医療費や介護費、生活費などが不足してしまっては本末転倒です。
そこで、今後必要となる資金を確保した上で、無理のない範囲で資産承継を進めることが重要であると説明しました。
実施した専門的支援
- 贈与税の基本的な仕組みについて説明
- 複数年にわたる生前贈与の考え方を整理
- お子様・お孫様を含めた贈与先の検討
- 教育資金等に関する特例制度の利用可能性を整理
- 銀行振込や贈与契約書など贈与方法について助言
- 贈与後の財産管理について助言
- 将来の相続税まで含めた資産承継の考え方を整理
- ご本人の生活資金を確保した上での贈与計画を助言
結果
相談者は、
「今年いくら贈与すれば得なのか」
という単年度の考え方ではなく、
数年にわたる贈与計画と、家族全体の資産承継を設計することが重要である
と理解されました。
また、贈与先をどのように考えるか、贈与の記録をどのように残すか、教育資金に関する制度をどのような場合に検討するかについても方向性を整理することができました。
税金だけを基準に財産を移すのではなく、
ご本人の生活を守りながら、ご家族へどのように財産をつないでいくのか
という視点で、生前贈与を考えられるようになりました。
三尾会計事務所からのメッセージ
生前贈与は、
「毎年、非課税になる範囲で贈与すればよい」
というものではありません。
まず考えたいのは、
ご自身の財産を、将来誰に引き継ぎ、その財産をご家族にどのように役立ててほしいのか
ということです。
贈与税だけを見れば有利に見える方法でも、将来の相続税、遺産分割、ご本人の生活資金まで含めて考えると、必ずしも最適とは限りません。
だからこそ、
「誰に・いつ・何を・どのように引き継ぐのか」
を、ご家族全体で考えることが重要です。
三尾会計事務所では、現在の財産、ご家族の構成、将来必要となる生活資金、相続税、そしてご本人の想いまで整理し、
「家族全体の資産承継」
という視点から生前贈与をご提案します。
このようなお悩みはありませんか?
- 子や孫へ少しずつ財産を渡していきたい
- 毎年どの程度贈与すればよいのか分からない
- 生前贈与が本当に相続対策になるのか確認したい
- 子と孫のどちらへ贈与した方がよいのか迷っている
- 教育資金などの特例制度を利用できるか知りたい
- 贈与契約書や銀行振込など、正しい贈与方法を確認したい
- 相続税と贈与税をまとめて検討したい
- 自分の生活資金を残しながら資産承継を進めたい
一つでも当てはまる場合は、
「今年いくら贈るか」ではなく、「ご家族へどのように財産を残したいのか」
というところから一緒に整理してみませんか。
ご家族に合った資産承継を、一緒に考えてみませんか?
生前贈与は、税金を減らすためだけのものではありません。
ご本人の生活を守りながら、ご家族へ財産と思いをどうつないでいくかを考えることが大切です。
三尾会計事務所では、生前贈与・相続税・遺産分割・ご家族の資産状況まで含め、
将来の相続を見据えた資産承継をご支援します。
対面・オンライン(Zoom)・メール・お電話でご相談いただけます。


