起業前に決めておきたい5つのこと|会社設立・税金・事業計画・資金繰り・顧客獲得

起業は、「会社をつくること」が目的ではありません。

自分の商品やサービスを、必要としている顧客へ届け、代金を回収し、事業を続けることが目的です。そのために、開業前に決めておくべきことがあります。

会社という傘の下から飛び出し、自分の力で仕事を始める。起業には大きな希望があります。一方で、会社員のときには誰かが担当していた営業、請求、資金管理、税務、契約などを、自分で判断しなければなりません。

成功する方法を事前に確定することはできません。しかし、過去の起業者がつまずいてきた点を知り、失敗の可能性を減らす準備はできます。

起業前に確認したい5項目

  1. 法人で始めるか、個人事業で始めるか
  2. どのような税金と手続きがあるか
  3. 事業計画をどうつくるか
  4. 資金繰りをどう維持するか
  5. 最初の顧客をどう獲得するか

1.法人か個人事業かを決める

起業するとき、多くの方が最初に迷うのが「会社を設立するか、個人事業で始めるか」です。どちらが有利かは、見栄えや税率だけでは決まりません。

個人事業が向く場合

  • まず小さく始め、需要を確かめたい
  • 設備投資や雇用が少ない
  • 一人の専門性を中心に事業を行う
  • 設立・維持コストを抑えたい

法人が向く場合

  • 採用や組織化を予定している
  • 取引上、法人格が求められる
  • 設備資金や運転資金の調達が必要
  • 共同経営や外部出資を予定している

法人を選ぶ場合は、株式会社か合同会社か、資本金はいくらにするか、誰が株主になるか、役員報酬をどうするかも検討します。特に株主構成は、将来の意思決定や経営権に関わります。知人に頼まれて安易に出資してもらうのではなく、将来まで見通して決める必要があります。

反対に、個人事業で始めた後、売上、利益、採用、取引先の要請などを見ながら法人化する方法もあります。最初から結論を決めつけず、事業の規模と将来像に合わせて選択することが大切です。

2.税金と届出を先に確認する

会社員のときは、給与から税金が差し引かれ、会社が多くの手続きを行ってくれます。起業後は、事業者自身が売上と経費を記録し、申告し、納税資金を残さなければなりません。

個人事業では所得税、住民税、個人事業税、消費税など、法人では法人税、法人住民税、法人事業税、消費税などが関係します。さらに、従業員や役員へ給与を支払えば、源泉所得税や社会保険の手続きも生じます。

特に注意したいこと

  • 設立・開業時の届出には期限がある
  • 利益と手元のお金は同じではない
  • 消費税の納税義務は資本金、売上、特定期間、インボイス登録などで変わる
  • 法人のお金を社長が自由に私用へ回すことはできない

「利益が出てから考えればよい」と後回しにすると、納税時期に資金が足りなくなることがあります。売上の一部を納税資金として分けて管理するなど、最初からお金の流れに組み込んでおきます。

法人か個人事業か。数字を置いて比較すると、判断しやすくなります。

今の状況を相談する

3.事業計画は「借りるため」だけにつくらない

起業時の融資では、事業計画を通じて、創業の動機、経営者の経験、商品やサービス、販売先、必要資金、売上と利益の見通し、返済可能性などを説明します。

しかし、本来の事業計画は金融機関へ提出するためだけの資料ではありません。「誰に、何を、どのように売るのか」「売上はいくつの契約から成り立つのか」「いつまでに何を実行するのか」を、経営者自身が具体的に考える道具です。

売上計画は、希望額ではなく行動へ分解する

例えば月商100万円なら、「単価10万円の商品を月10件販売する」「そのために見込み客へ何件提案する」と分解します。実行可能性が見えなければ、売上予測ではなく願望のままです。

計画と実績を毎月比べれば、売上不足、原価上昇、固定費の過大などに早く気づけます。計画は当てるためではなく、違いに気づき、次の行動を決めるために使うものです。

4.利益より先に、資金繰りを確認する

事業は、利益が少ないだけで直ちに止まるわけではありません。しかし、支払日に現金がなければ続けられません。売上が増えていても、入金より仕入れや外注費の支払いが先なら、資金は不足します。

創業時には、設備資金だけでなく、売上が安定するまでの家賃、人件費、外注費、仕入代金、生活費を含めて必要資金を見積もります。そのうえで、少なくとも毎月次の項目を確認します。

  • 月初の預金残高
  • 売上の入金予定日と金額
  • 仕入、外注費、給与、家賃、返済、税金の支払予定
  • 月末の予想残高

不足が予想できれば、入金条件の見直し、支払時期の調整、追加融資の相談などを早めに行えます。資金繰り表は、会社を守るための早期警戒装置です。

5.「誰に売るか」を曖昧にしない

良い商品や高い技術があっても、顧客に知ってもらえなければ売上にはなりません。「誰にでも売れる」と考えるより、最初に役立てる顧客を具体的に決めることが重要です。

創業直後は広告費を大きくかけられないこともあります。その場合は、見込み客が集まる場所へ出向く、セミナーや相談会で専門性を伝える、既に顧客との信頼関係を持つ人と協力する、最初の顧客へ期待以上の仕事をして紹介につなげる、といった方法があります。

「売るもの」だけでなく、「売れる流れ」を考える

見込み客との接点、相談、提案、契約、納品、請求、入金、再購入、紹介までを書き出すと、起業後に必要な行動が具体的になります。

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事業計画が金融機関へ提出したままになり、経営者や社員が普段の判断に使っていない会社は少なくありません。三尾会計事務所では、提出資料としての計画を、会社の未来と行動を共有するための経営ツールへ転換する支援も行っています。

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起業前に相談相手を決めておく

起業後は、正解のない判断が続きます。すべてを一人で抱えると、問題が大きくなってから相談することになりがちです。

成功を保証する専門家はいません。しかし、契約、税務、資金繰り、採用、事業計画などについて、過去の失敗例を踏まえて選択肢を整理することはできます。起業前の段階で、困ったときに相談できる相手を決めておくことも、大切な準備の一つです。

起業の夢を、数字と行動の計画に変えます。

事業形態、創業計画、資金調達、税務手続きまで、現在の準備状況から一緒に整理します。

※税務上の取扱いや必要な届出は、事業内容、資本金、売上、設立時期、インボイス登録などによって異なります。実際の判断は個別にご確認ください。