株価を下げることより、会社を次世代にどう残すか」を優先した事例

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この事例から学べること


事業承継では、株価を下げること自体が目的ではありません。
税負担だけに目を奪われず、会社を次世代へ安定して引き継ぐための資本政策を考えることが重要です。


相談テーマ

業績が順調に推移し、会社に利益が蓄積された結果、
自社株の評価額が大きく上昇していました。

概算では1株約6万円、創業者が保有する株式全体では
約5億円に達する可能性があります。

経営者からは、


「将来の相続税が心配なので、株価を下げる方法はないでしょうか」

というご相談をいただきました。
事業承継税制の利用も選択肢として検討されていました。


背景

会社は安定して利益を計上しており、財務内容も良好でした。

一方、大規模な設備投資などの予定は少なく、このまま利益を積み上げていけば、
純資産が増え、自社株評価額もさらに上昇する可能性があります。

そのため経営者は、


「会社が成長するほど、相続税の負担が重くなるのではないか」

という不安を抱えていました。

そこで、株価対策や事業承継税制を利用して、
できるだけ税負担を抑えたいというのが当初のご相談でした。


三尾会計事務所の診断

表面的な課題は、

「株価が高い」

ということでした。

しかし、数字を整理していくと、本当に考えるべき問題は別のところにありました。

それは、


「この会社を、次の世代、そのまた次の世代へ、どのような形で引き継いでいくのか」

という長期的な事業承継の設計です。

会社には十分な利益を生み出す力があり、
今後も一定のキャッシュを蓄積できる可能性があります。

であれば、単純に「株価を下げること」だけを考えるのではなく、
将来の相続税額と納税資金を予測しながら、会社と個人の双方で準備していく
という視点が重要になります。


「税金を減らす」から「会社をどう残すか」へ

そこで、検討の順番を変えることをご提案しました。

最初に行うべきなのは、株価対策ではありません。

まず、現在の自社株評価額を正確に把握する。

次に、創業者夫妻の個人資産を含めて、将来の相続税額を試算する。

そして、会社の利益計画から、5年後、10年後の株価を予測する。

ここまで整理して初めて、具体的な選択肢を比較することができます。

  • 株式をいつ、誰に、どの程度移していくのか
  • 納税資金をどのように準備するのか
  • 創業者夫妻の株式保有割合をどう見直すのか
  • 事業承継税制を利用する必要があるのか

単年度の税金だけを見るのではなく、
会社の将来計画と一体になった資本政策として考えることが重要です。


事業承継税制も「使えるか」ではなく「使うべきか」

事業承継税制は、一定の要件のもとで、
非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予等を受けられる重要な制度です。

しかし、


「制度が利用できるから利用する」

という考え方が、必ずしも最適とは限りません。

制度には適用要件や継続的な手続きがあり、
将来の会社や株式のあり方まで踏まえて判断する必要があります。

そこで今回は、
「事業承継税制を使った場合」と「使わずに承継した場合」を比較してから判断する
ことをご提案しました。

税制を先に決めるのではなく、
会社の将来像を決めてから、それに適した制度を選択する
という考え方です。


実施した専門的支援

  • 現在の自社株評価額の確認
  • 将来の相続税負担の試算方法を整理
  • 会社の利益と株価上昇の関係を説明
  • 事業承継税制を利用する場合・しない場合の比較
  • 創業者夫妻の株式保有割合の見直しを検討
  • 納税資金を含めた長期的な資金計画を整理
  • 次世代への株式移転を見据えた資本政策を提案

結果

経営者の考え方は、

「どうすれば株価を下げられるか」

から、

「会社をどうすれば安定して次世代へ残せるか」

へと変わりました。

今後は、自社株評価と相続税額を定期的に確認するとともに、
会社の利益計画、個人資産、株式保有割合、後継者への株式移転を
一体として検討していくことになりました。

短期的な株価対策ではなく、
5年、10年、その先を見据えた資本政策として事業承継を進めていく
という方向性です。


三尾会計事務所からのメッセージ

「株価が高くなって困っています」
というご相談を受けることがあります。

しかし、会社の価値が高くなることそのものは、
決して悪いことではありません。

大切なのは、


高くなった会社の価値を、どう次の世代へ引き継ぐか。

ということです。

株価対策、相続税対策、事業承継税制、持株会社などは、
すべてそのための「手段」です。

三尾会計事務所では、制度ありきではなく、
経営者がどのような会社を次世代へ残したいのか
というところから、事業承継を一緒に考えます。


同じようなお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。