「会社を売る」前に、「売れる会社をつくる」ことから始めた事例

会社を売却したいと考えたとき、まず「どの方法で売るか」に目が向きがちです。
しかし、買い手が評価するのは手続きの種類ではなく、会社がこれからも利益を生み出せるかという将来性です。
本事例では、売却を急ぐ前に収益力と事業計画を見直し、企業価値を高めることから始めました。
その結果、M&Aだけでなく、会社を継続して成長させるという選択肢も見えるようになりました。
1.この事例から学べること
会社売却やM&Aを考えるとき、最初に検討すべきなのは手続きの方法ではありません。将来にわたって利益を生み出せる会社として、どのように企業価値を高めるかを整理することが重要です。
本事例では、「会社を売却したい」というご相談を入口に、収益力と事業計画を見直しました。その結果、売却だけに選択肢を絞るのではなく、会社を継続・成長させる可能性も含めて、将来を考えられる状態を整えた事例です。
2.相談のきっかけ
長年にわたり技術者派遣業を営む会社の経営者から、「会社の売却を検討しているが、何から始めればよいか」というご相談をいただきました。
新型感染症の影響もあり、当期は大幅な赤字が見込まれていました。以前から売上は損益分岐点付近を推移しており、利益が安定しない状況が続いていたため、将来への不安から売却を考え始められたとのことでした。
3.相談者の状況
同社は一時的な赤字を見込んでいたものの、自己資本はおおむね5,000万円を維持していました。また、借入金と売掛金のバランスにも大きな問題はなく、資金繰りが直ちに危機的な状態にあるわけではありませんでした。
しかし、利益を継続して確保できる見通しが明確でなければ、会社の将来性を十分に説明することはできません。経営者は「このまま会社を続けるべきか」「売却という選択肢を取るべきか」を判断できずにおられました。
4.表面的な相談
当初のご相談は、「会社をどのように売却すればよいか」というものでした。
会社の売却には、株式譲渡、事業譲渡、会社分割など、複数の方法があります。それぞれに税務・法務・契約上の検討事項があり、どの方法が適しているかは会社の状況によって異なります。
ただし、方法を先に決めても、買い手が評価する会社の収益力や将来性が十分に整理されていなければ、希望する条件での売却につながらない可能性があります。
5.本当の問題 ― 三尾会計事務所の診断
私たちは、売却方法を選ぶ前に、「この会社は将来も利益を生み出せる状態になっているか」を確認する必要があると考えました。
自己資本があることは大切ですが、それだけで企業価値が決まるわけではありません。買い手や金融機関、取引先が見ているのは、今後も安定して売上と利益を生み出せる事業なのか、そしてそれを実現する計画と体制があるのかという点です。
本当の課題は、会社を「どう売るか」ではなく、売却する場合にも、継続する場合にも選ばれる会社へどう整えるかにありました。
6.提案・判断
そこで、「売却を急ぐ」ことから、「企業価値を高めて選択肢を増やす」ことへ視点を転換するご提案をしました。
まず、継続的に利益を確保するために、売上・人員配置・取引先・固定費などを見直し、実現可能な事業計画をつくることが必要です。赤字の原因を数字で把握し、どこに手を打てば利益改善につながるのかを明確にしていきます。
利益改善が進めば、会社の将来性を説明しやすくなり、企業価値の向上も期待できます。その結果、売却を選ぶ場合には条件改善につながる可能性があり、売却しない場合にも自立して事業を継続する力を高めることができます。
7.実際に行ったこと
- 株式譲渡・事業譲渡・会社分割の特徴と検討事項の整理
- 財務内容と資金繰りの状況確認
- 収益構造と利益改善の課題整理
- 企業価値を考えるための財務情報の分析
- 実現可能な事業計画づくりの提案
- 企業価値向上を前提とした経営改善方針の整理
- M&Aを含む将来の経営判断についての助言
売却の可否だけを検討するのではなく、会社の強みをどのように収益へつなげ、将来に向けてどのような体制をつくるかを、経営者とともに整理しました。
8.結果
相談者は、売却手続きに着手する前に、利益改善へ取り組むことが企業価値の向上につながることを理解されました。
今後は、事業計画を策定し、収益改善に向けた具体的な取り組みを進めながら、売却だけでなく会社を継続する可能性も含めて検討していく方向性が整理されました。
会社を売却することは、経営者にとって大きな意思決定です。だからこそ、将来の選択肢を一つに絞る前に、会社自身の力を高め、判断できる状態をつくることが重要です。
9.三尾会計事務所からのメッセージ
「会社を売りたい」というご相談では、売却の手続きや相手探しに意識が向きやすいものです。しかし本当に重要なのは、買いたいと思われる会社になっているか、そして自社で続ける選択肢を持てる状態になっているかです。
利益を安定して生み出せる会社は、企業価値を説明しやすくなり、売却条件の改善にもつながります。同時に、経営を続けるという選択肢も残すことができます。
三尾会計事務所では、M&Aの手続きだけではなく、企業価値を高めるための利益改善、事業計画、資金計画を一体として整理し、経営者が納得して次の判断を行えるようご支援しています。
このようなお悩みはありませんか?
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- 売却する前に、会社の価値を高められるか確認したい
- 売却だけでなく、会社を継続する可能性も検討したい
- 事業計画や利益改善を、将来の選択肢につなげたい
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会社を売却すべきか、続けるべきか、まだ結論が出ていない段階でもご相談いただけます。現在の状況を整理し、会社にとって納得できる次の選択肢を一緒に考えます。


