アンケートシステムCPSの出口|社員自身が課題解決の当事者になる「解決策支援セッション」

CPSは、社員の声を集めて終わるアンケートではありません。
本当の目的は、社員が気づいた課題を明らかにし、 その課題を知っている社員自身にも、解決の当事者になってもらうことです。
アンケートシステムCPSを実施すると、経営者が知らなかった現場の問題が見えてきます。
しかし、問題が見えただけでは会社は変わりません。
「こういう問題がありました」と経営者へ報告し、経営者が改善策を考えて社員へ指示する。 それだけでは、CPSが目指しているところまで到達していないと私たちは考えています。
課題を見つけた人が、今度は解決する側に回る。
CPSで課題を回答した社員や管理職にも参加してもらい、 「では、どう変えればよいのか」を一緒に考える。 そこがCPSのもう一つの重要な役割です。
三尾会計事務所では、この段階を 「解決策支援セッション」 として位置づけています。
「言える」ということは、その問題をよく知っているということ
社員がアンケートで、
「この見積方法では利益が出ない」
「営業から情報が届かず、現場が毎回混乱している」
「同じ不良が何度も起きている」
「このシステムでは仕事がかえって増えている」
と具体的に書けるのは、なぜでしょうか。
それは、その社員が日々の仕事の中で、 その問題を実際に経験しているからです。
そして、何が問題なのかを具体的に説明できる人は、 「こうすれば少し良くなるのではないか」という考えも持っていることが少なくありません。
CPSには、もう一つ大切な「出口」があります。
課題を発見した後、その課題を実際に経験している社員や管理職にも参加してもらい、 自分たちで解決策を作り、実行し、進捗を確認していくことです。
「言える」ということは、その問題をよく知っているということ。
そして、その人は解決のヒントも持っている可能性があります。
「言える」ということは、
解決のヒントも持っている可能性があるということです。
ここに、CPSの根本思想があります。
経営者が答えを出してしまうと、うまくいかないことがある
アンケートから会社の問題が見つかると、 経営者としては「すぐ直さなければ」と考えます。
その姿勢自体は重要です。
しかし、経営者や外部専門家だけで解決方法を作り、 「明日からこの方法でやってください」と現場へ渡しても、 実際にはうまく機能しないことがあります。
理由は単純です。
その仕事を毎日しているのは、経営者ではなく社員だからです。
経営者が見ているもの
会社全体の利益、資金、顧客との関係、経営方針、将来の投資など、会社全体を見ています。
社員が見ているもの
日々の作業、情報の流れ、判断待ち、二度手間、使いにくいルールなど、仕事の細部を見ています。
どちらか一方だけでは十分ではありません。
経営者が持っている会社全体の視点と、 社員が持っている現場の具体的な情報を合わせることで、 初めて実行できる改善策になっていきます。
解決策支援セッションで行うこと
解決策支援セッションでは、CPSで見つかった課題の中から、 重要度や緊急度を考えて、実際に取り組むテーマを選びます。
そして、そのテーマに直接関係する社員や管理職に集まってもらいます。
例えば、見積りの問題であれば営業だけではなく、 製造や原価を把握している担当者も参加するかもしれません。
材料不足が問題であれば、購買だけではなく、 在庫管理、生産計画、製造現場の担当者も関係します。
ここで確認したいのは、「誰が悪いか」ではありません。
実際に何が起きていて、なぜその状態になっているのか。 そして、現実的にどこを変えれば仕事が良くなるのかを一緒に考えます。
例えば「利益の出ない受注」が見つかった場合
CPSで、製造現場から次のような回答が上がったとします。
「営業の見積もりが甘く、原価を割り込む価格で受注している」
この回答を見て、 「営業担当者にもっと注意するように伝えよう」 と考えるだけでは、根本解決にはならないかもしれません。
なぜ、その価格になったのでしょうか。
営業担当者が原価を知らないのかもしれません。 見積方法が担当者ごとに違うのかもしれません。 そもそも標準原価が作られていないのかもしれません。 例外価格の承認ルールがないのかもしれません。
あるいは営業担当者自身も、 「この値段では利益が出ない」と分かっていても、 売上目標を優先して受注せざるを得なかったのかもしれません。
こうした事情は、当事者同士で事実を確認しなければ分かりません。
CPSの回答は、答えではありません。
「ここを調べてみた方がよい」という、経営課題を発見する入口です。
解決策は、現場の社員と一緒に作り込む
原因が分かってくると、次に 「では、どう変えるか」 を考えます。
ここでも、外部から完成した答えを持ち込むことを基本にはしていません。
実際にその仕事を行っている社員や管理職に、 現実的な方法を考えてもらいます。
例えば見積りの問題なら、 見積原価を統一する、承認基準を作る、 量産後に実際原価を確認する、といった改善案が考えられます。
しかし、本当に実行できる方法は会社ごとに違います。
その会社の社員数、取引先、設備、システム、仕事の流れを知っている人が参加することで、 初めて「自社で使える解決策」に変わります。
社員自身が考えることで、改善は「自分事」になる
社員自身が解決策を考えることには、単に良いアイデアを集める以上の意味があります。
毎日の仕事を知っている人が考えるため、机上の改善になりにくくなります。
会社から命令された改善ではなく、自分たちが考えた改善になります。
問題を見つけ、原因を考え、直す経験そのものが社員の力になります。
特に最後の点は重要です。
CPSの目的は、今ある10個の問題を専門家が解決してあげることではありません。
次に11個目の問題が起きたとき、会社の社員自身がそれに気づき、解決できるようになること を目指しています。
社員が改善に参加できる組織づくりについて、もう少し詳しく知りたい方へ
生産性向上は、社員に「もっと頑張ってもらう」ことではありません。 仕事のムダや属人化を減らし、社員自身が改善できる仕組みをつくることが重要です。
解決策支援セッションは、3つの段階で考える
第1段階 課題を選び、事実を確認する
CPSで見つかった課題の中から、優先して取り組むものを選びます。 そして、その仕事に関係する社員・管理職と、実際に何が起きているのかを確認します。
第2段階 当事者が解決策を作る
原因を整理したうえで、現場で実行できる改善方法を考えます。 経営者や専門家は、答えを一方的に与えるのではなく、 考えを整理し、解決策を具体化する支援をします。
第3段階 実行し、変化を確認する
誰が何を担当するか、いつまでに行うかを決めて実行します。 その後も進捗を確認し、必要であれば方法を修正します。
良い解決策を作るだけでは、会社は変わらない
改善会議でよくあるのが、 会議では良い話ができたのに、その後ほとんど進まないという状態です。
そこで解決策支援セッションでは、 改善案を考えるところだけで終わらせない ことを重視します。
担当する人を決め、いつまでに何をするかを決めます。
そして一定期間後に、 実際に実行されたのか、 途中で止まっているのか、 止まっているなら何が障害になっているのかを確認します。
改善策を「決める」だけで終わらせないために
業務改善では、課題を見つけること以上に、 実際に動かし、定着させることが重要です。 改善を進めるときの基本的な考え方を、別の記事で整理しています。
モニタリングの目的は、「できた・できない」を責めることではありません。
実行できない理由もまた、新しい経営課題を教えてくれる情報だからです。
本当に改善したかは、現場の変化で確認する
経営者が「改善した」と考えていても、 現場で働く社員から見ると何も変わっていないことがあります。
そこで、一定期間が経過した後に再びCPSを行います。
以前問題として挙がっていたことが減ったのか。 別の問題が生まれていないか。 社員が「前より良くなった」と感じているのか。
この変化を見ることによって、 改善が本当に現場まで届いたかを確認できます。
CPSは、一度アンケートを取って終了する仕組みではありません。
課題を見つけ、改善し、その結果をもう一度確認する。
この循環を作ることに意味があります。
「言っても無駄」から「言えば変わる」へ
CPSを続けることで、社員側にも変化が起こります。
最初は、 「言ってもどうせ変わらない」 と思っていた社員がいるかもしれません。
しかし、自分が回答した問題が会社で取り上げられ、 解決策支援セッションが開かれ、 自分自身も改善に参加し、 本当に仕事のやり方が変わったとしたらどうでしょうか。
「言っても無駄」から、
「言えば会社が動く」へ。
この経験は、次のCPSにも影響します。
より具体的な課題が出るようになったり、 問題だけではなく改善案まで書いてくれる社員が増えたりする可能性があります。
つまり、CPSを繰り返すことで、 アンケートの質そのものも変わっていきます。
経営者の役割は「全部解決する人」でなくてもよい
若手の経営後継者ほど、 「社長になった以上、自分が答えを出さなければならない」 と考えることがあります。
しかし、会社のあらゆる仕事について、 社長が一番詳しい必要はありません。
むしろ経営者の重要な役割は、 問題が見える環境を作り、 現場の社員が話せる環境を作り、 必要な人を集め、 改善するための時間と機会を用意することです。
経営者がすべての問題を解決する会社から、
社員自身が問題を発見し、改善できる会社へ。
それが、アンケートシステムCPSが目指している姿です。
CPSの出口は「社員自身が改善する会社」
CPSは、経営者が知らない問題を見つけるための仕組みです。
しかし、それだけなら経営診断で終わります。
私たちがCPSで目指しているのは、その先です。
課題を回答した社員が、その課題の事実確認に参加する。
原因を考える。
解決方法を考える。
実際に動く。
そして、その結果を自分たちで確認する。
気づいた人が、解決する人になる。
社員自身が課題を発見し、解決策を考え、実行し、その変化を確認する。
この循環を会社の中につくることが、CPSの根本思想です。



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