遺言書とは?遺言書がある相続の仕方や遺言書とは異なる遺産分割の方法を解説!

遺産相続をする中でも遺言書をめぐってはさまざまなトラブルが生じる可能性があります。当人同士の話し合いだけではなく裁判所に訴訟しなくてはいけないケースも存在します。

とはいえ、遺言書の効力やトラブルについてあまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、遺言書や遺留分侵害額請求などについて詳しく解説していきます。

遺産相続でのトラブルに巻き込まれたくない方はぜひ最後まで読んでみてください。

遺言書とは?

遺言書とは、自分の死後に残る財産を誰にどのように分配するかなどの相続について自分の意思を書き記す書類です。

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言などいくつかの種類がありますが、いずれの遺言書についても法律の定め通り記載する必要があります。

また、遺言書には法的な拘束力があるため、相続人は基本的には遺言書通りに相続を進める必要があります。遺言書には相続人を指定するだけではなく、相続の権利を剥奪する人や遺言執行者の指定などもすることが可能です。

このように、遺言書は相続に関して法的な効力を持っているため、相続のトラブルにならないように書き残しておくことが一般的です。

一方で「遺言」や「家族への手紙」などで相続について伝えられることがありますが、これらには法的な拘束力はありません。したがって必ずしも従う必要はなく、遺言書が残されていない場合の相続人については、民法で定められている法定相続人が相続することになります。

遺言書がある場合の相続の仕方

遺言書がある場合、下記の2つの点に注意して相続する必要があります。

遺言書がある場合の注意点

  • 遺言書の検認が必要かどうか確認をする
  • 遺言執行者が就いているなら手続きを任せる

それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

遺言書の検認が必要かどうか確認をする

遺言書には法的な効力があるため、個人で遺言書とは判断することができず、公的機関によって遺言書として認められる必要があります。

一般的に遺言書に法的な効力を持たせることができるのは家庭裁判所です。例えば自宅で見つけた遺言書を家庭裁判所に提出することで、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などの内容を明確にします。また、遺言書が偽造や変造がなされていないかを確認してもらうことができ、問題なければ正式な遺言書として「検認」を受けることができます。

ただし、公的証明書による遺言書もしくは法務局にて保管されている遺言書以外の遺言書については家庭裁判所への提出は必要ありません。これらは、すでに法的な効力を持っている正式は遺言書として認められているためです。

このように、同じ遺言書であっても家庭裁判所に検認してもらう必要がある場合とそうでない場合があるということを覚えておきましょう。

遺言執行者が就いているなら手続きを任せる

遺言を残した故人は死後、自分の思いを実現することができません。そこで、自分の思いを実現するために相続の手続きなどを任せる「遺言執行者」を遺言書に書き記している場合があります。

遺言書に遺言執行者の名前が記されている場合、遺言執行者は相続財産の管理や相続についての連絡などを取り仕切る義務が発生します。そのため、相続の手続きなどは基本的に、遺言執行者に任せることになります。

遺言書とは異なる遺産分割ができる場合

遺言書とは異なる遺産分割ができる場合は下記の2つのケースです。

遺言書と異なる遺産分割ができる場合

  • 受遺者・相続人全員が同意した場合
  • 遺言書が無効である場合

それぞれのケースについて詳しく解説していきます。

受遺者・相続人全員が同意した場合

遺産を相続する場合、「遺産分割協議」にて相続人全員が話し合う必要があります。そしてこのときに相続人全員が同意することで、遺言書とは異なる遺産分割をすることが可能です。

また、遺言書に相続人以外の遺産を受け取る人(受遺者)がいる場合、相続人だけの判断で遺産分割を決定することができません。そのため、この場合は受遺者の同意も得る必要があります。

遺言書が無効である場合

遺言書は法的な拘束力があるため、内容に不備があると遺言書の効力が無効になることもあります。

遺言書が無効になる主なケースは下記の通りです。

遺言書が無効になるケース

  • 日付の記載がない
  • 遺言者の署名・押印がない
  • 明確に内容が記載されていない
  • 間違った訂正がされている
  • 複数人で書かれた遺言書である
  • 認知症を患っていた
  • 誰かに偽装された可能性がある

このように、遺言書が無効であると判断できるポイントは数多く存在するため、遺言書が無効でないことを確認することも大切です。

また、遺言書の内容に不満がある場合は「遺言無効確認請求訴訟」を活用することで裁判所の判断を仰ぐことも可能です。

遺言書の内容が不公平な場合は「遺留分侵害額請求」をする

遺言書の内容に誰かひとりが遺産を独り占めするなど、不公平な内容だと感じた場合に対処するための「遺留分侵害額請求」について詳しく解説していきます。

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、相続人の生活保障のために一定割合の遺産(遺留分)を相続人に対して保証するための制度です。

相続人には民法によって最低限相続できる金額が保証されており、これを「遺留分」といいます。もし、遺言書に誰かが遺産を独り占めできるように書かれていた場合はこの遺留分が侵害されていると請求することができます。

遺留分侵害額請求をする方法

遺留分侵害額請求をする方法は下記の3つのステップで行うことができます。

step1. 協議
step2. 調停
step3. 訴訟

それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

協議

遺留分侵害額請求をしたら、まずは遺留侵害者と他の相続人と話し合いで解決を試みます。

協議の段階で意見がまとまり、問題が解決したら和解書を取り交わして完了です。

また、この時点では裁判制度を利用しないため、個人間でも話し合いとなりますが、妥当な金額や話し合いの進め方が難しいため、この時点から弁護士に相談するという方も多いです。

調停

遺産分割について協議では解決しなかった場合、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に対して遺留分侵害額請求調停を申し立てます。

調停に関しては弁護士を立てなくても行うことはできますが、調停委員に自分の意見を正しく伝えるためにも弁護士に相談することが無難です。

調停で問題が解決したら調停調書を作成します。

訴訟

調停でも問題が解決しない場合は調停不成立となり裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を提起します。

訴訟する場合は主張に対する証拠となるものを集める必要がありますが、非常に困難な作業になるため基本的には弁護士に相談しましょう。

遺留分侵害額請求権の消滅時効に注意!

遺留分侵害額請求権は相続開始から10年で消滅してしまうため、権利を行使する場合は早めに行動することが大切です。

トラブルになる前にプロに相談しよう

遺言書をめぐってはさまざまなトラブルが起こってしまうため、大きなトラブルになる前にプロに相談することがオススメです。

プロに相談することで大きなトラブルにならないことはもちろん、適切な方法で遺産を分配できるようになります。

本記事を執筆している三尾会計事務所では、相続の専門家が、あなたがやるべき手続きについて的確にアドバイスしています。初回のご相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、遺言書や遺留分侵害額請求などについて詳しく解説していきました。

故人が遺言書を残すケースは多いですが、中には無効な遺言書や納得できない内容の遺言書が残されている場合もあります。

とはいえ、遺言書に対する申し立てはさまざまな方法で行うことができるため、泣き寝入りすることなく解決することが可能なのです。

ぜひこの記事を参考にして遺言書や遺留分侵害請求について理解してみてください。

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